『ピーナッツ』と聞いて、あなたの頭に浮かぶのは誰ですか?
もちろん、チャーリー・ブラウンや世界一有名なビーグル犬のスヌーピー。
おせっかい焼きのルーシーに、安心毛布が手放せないライナス…。
でも、彼らが登場するずっと前から、この物語の「最初の女の子」がいたことをご存知でしょうか?
彼女の名前はパティ。
そう、あのボーイッシュなペパーミント パティとは違う、もう一人のパティです。
彼女は記念すべき連載初日からチャーリー・ブラウンの隣にいた、正真正銘のオリジナルメンバー。
それなのに、いつしか物語の表舞台から静かに姿を消してしまいました。
「え、そんな子いたっけ?」と思ったそこのあなた!
実は、彼女こそが後のパワフルな『ピーナッツ』ガールズの原型であり、作品の歴史を語る上で絶対に欠かせないキーパーソンなのです。

この記事では、忘れられた初代ヒロイン、パティの誕生の秘密から、彼女が我々の前から去っていった切ない理由まで、そのすべてを愛情たっぷりに掘り下げていきたいと思います。
さあ、時を遡る旅に出かけましょう!
パティって誰?『ピーナッツ』最古参メンバーの横顔
パティを単なる「昔のキャラ」で片付けてしまうのは、あまりにもったいない!
彼女は『ピーナッツ』という作品のそのものを形作った、とてつもなく重要な存在だったんです。
まさかの連載初日メンバー!

驚くべきことに、パティは1950年10月2日、つまり『ピーナッツ』がこの世に生まれたその日に、チャーリー・ブラウンとシャーミーと一緒に登場しました。
スヌーピーですら、初登場は2日後の10月4日。
ルーシーやライナスなんて、まだまだ影も形もありません。
この事実だけでも、作者チャールズ・M・シュルツ氏の頭の中に、最初から「男の子と女の子」がいる世界観があったことがわかります。
彼女は、作品における最初の「紅一点」として、物語に彩りを与えるという重大な役割を担っていたのです。


名前の由来は作者の「いとこ」

キャラクターに身近な人の名前をつけるのは、シュルツ氏の得意技。
パティという可愛らしい名前も、彼のいとこであったパトリシア・スワンソン氏から取られました。
これは単なる噂話ではなく、長年の時を経て、2015年公開の映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』で彼女のフルネームが「パティ・スワンソン」と公式に設定されたことで証明されました。
ファンにとっては、長年の謎が解けたような、胸が熱くなる瞬間でしたね!
「お砂糖とスパイス」だけじゃなかった!衝撃の二面性

パティの性格を語る上で、絶対に外せないのが1950年10月3日のコミック。
これはもう伝説です。
彼女は「女の子は お砂糖とスパイスと素敵な何かでできている♪」とご機嫌に歌いながら歩いています。
なんて可愛らしいんでしょう!…と思った次の瞬間、いきなりチャーリー・ブラウンをボカッ!と殴りつけ、何事もなかったかのようにまた同じ歌を口ずさむんです。怖っ!
このエピソードが示すように、初期のパティは、年下の面倒を見る優しいお姉さん的な側面と、後のルーシーを彷彿とさせるような攻撃的で意地悪な側面を併せ持つ、非常に複雑なキャラクターでした。
彼女は決して「いい子ちゃん」の型にはまらない、人間味あふれる多面的な少女だったのです。
これこそが、後に続く『ピーナッツ』の女性キャラクターたちの強烈な個性の原点と言えるでしょう。
見た目の変遷:時代を映すパティのスタイル

パティのアイデンティティといえば、その特徴的なファッション。
彼女のスタイルは、半世紀以上にわたる『ピーナッツ』の歴史の中で、少しずつ変化を遂げてきました。
チェック柄ワンピとリボンが鉄板!
パティのトレードマークは、何と言ってもチェック柄(格子柄)のワンピースと、お揃いのリボン。
これは1950年代のアメリカの女の子の典型的なスタイルで、古き良き時代のノスタルジーを感じさせます。
足元はメリージェーンと呼ばれるストラップシューズがお決まり。
このクラシックで愛らしいスタイルは、彼女の基本的なイメージとして、ほとんどの期間で一貫していました。
アニメでカラフルに!髪と服の色の秘密



白黒のコミックの世界を飛び出し、アニメになったことでパティは鮮やかな色を手に入れました。
でも、その色は作品によって微妙に違うんです。
- テレビ初期(1960年代〜)
- 『スヌーピーのメリークリスマス』(1965年)を筆頭に、初期のテレビスペシャルでは、彼女のワンピースとリボンは温かみのあるオレンジ色で描かれることが多かったです。
- 髪の色はブロンドだったり赤毛だったりと安定しませんでしたが、次第にブルネット(茶髪)のイメージが定着していきました。
- 映画版(2015年)
- 『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』では、なんとライトグリーン(薄緑色)のワンピースで登場! 髪色もブロンドに変わり、イメージがガラッと変わりました。
- これには、おそらくもう一人の有名キャラクター、ペパーミント パティ(彼女は緑のTシャツがトレードマーク)との見た目の混同を避ける、という制作側の賢い判断があったのかもしれませんね。
複雑な人間模様:パティと仲間たち
パティのキャラクターを深く知るには、彼女を取り巻く友人関係を見るのが一番!
彼女は優しい友達であり、同時に意地悪ないじめっ子でもありました。
ヴァイオレットとの女子同盟:「共犯者」としての絆

パティの一番の親友は、お嬢様気質のヴァイオレット・グレイ。
この二人はいつも一緒に行動し、その関係は「パートナー・イン・クライム(共犯者)」と呼ぶのがぴったり。
ちょっとしたエリート意識を共有する彼女たちは、特にチャーリー・ブラウンを格好のターゲットにしていました。
彼を仲間外れにしたり、パーティーに招待しなかったり、彼が一生懸命作った砂のお城を笑いながら破壊したり…。
二人の小悪魔的な振る舞いは、初期『ピーナッツ』の定番ギャグであり、物語にピリッとしたスパイスを加えていました。

チャーリー・ブラウンへの愛憎

パティのチャーリー・ブラウンに対する感情は、本当に一言では言い表せません。
「いじめっ子」のイメージが強いですが、連載が始まったばかりの頃は、彼に好意を寄せているような素振りも見せていたんです。
彼に「結婚しない?」なんて迫ったり、愛情を確かめようとしたりするシーンも!
しかし、物語が進むにつれてそうした甘い雰囲気は消え去り、彼をちょっと見下したような、スノッブな態度が目立つようになっていきました。
ツンデレ…というには、ちょっとデレが少なすぎたかも?
意外な交友録
- ルーシー・ヴァン・ペルト
- 泣く子も黙るルーシーが登場してからは、パティ&ヴァイオレットのいじめっ子コンビに加わることがありました。とはいえ、パティとルーシーが個人的に深く関わるシーンは意外と少ないです。女王様は二人もいらない、ということでしょうか。
- シュローダー
- なんと、あの天才ピアニスト、シュローダーをチャーリー・ブラウンに紹介したのはパティなんです! 「隣の家に住んでるの」と説明しており、彼女が初期のコミュニティの中心にいたことがうかがえる貴重なエピソードです。
- シャーミー
- 連載初期からのメンバーであるシャーミーとは、子供らしいロマンスの雰囲気が漂っていました。お互いの気持ちを探り合うような会話をしたり、パティが「シャーミーよりチャーリー・ブラウンの方が好きよ!」と言ってシャーミーをヤキモキさせたり。微笑ましいですね。
パティはなぜ消えたのか? フェードアウトの真相
1950年代には間違いなくメインキャラクターだったパティ。
しかし、60年代半ばから徐々に出番が減り、70年代にはモブキャラ同然に…。
一体、彼女に何があったのでしょうか?
新キャラの台頭と「個性のインフレ」
最大の理由は、身も蓋もないですが、もっと個性が強い新キャラクターが登場したからです。
特に、ルーシー・ヴァン・ペルトの存在は決定的でした。
彼女は、パティが持っていた「意地悪な女の子」という役割を、より辛辣に、より哲学的に、そして圧倒的なインパクトで奪い去ってしまいました。
さらに、チャーリー・ブラウンの妹サリーが登場したことで、「年下の面倒を見る優しいお姉さん」という役割もそちらへ。
ライナスやシュローダーが独自の深いキャラクター性を確立していく中で、良くも悪くも「普通の女の子」だったパティの個性は、相対的に薄れていってしまったのです。
まるで、次々と新しいスターが現れる芸能界のようですね…。
「ペパーミント パティ」登場の余波?
1966年、スポーツ万能でボーイッシュな「ペパーミント パティ」が登場したことも、元祖パティの運命に影を落とした、という説は根強いです。
名前が似ているため、読者が混乱しないようにシュルツ氏が意図的に出番を減らしたのでは?というわけです。
しかし、この時点で既にパティの出番は減り始めていたため、これが直接的な原因というよりは、彼女のフェードアウトを決定づけた「最後の一押し」だったのかもしれません。
最後の目撃情報

1976年を最後に、パティがセリフ付きで登場することはほぼなくなりました。
作者のシュルツ氏は1994年のコミックに彼女を描いたと語っていますが、絵柄が少し違ったためファンの間では「本当にパティ?」と議論になったほど。
彼女がはっきりと姿を見せた最後のオリジナルコミックは、1995年4月17日のものとされています。
パティに関する豆知識&トリビア集
最後に、知っているとちょっと自慢できるパティのトリビアをいくつかご紹介!

- 正真正銘の初代女子!
- 何度も言いますが、彼女は『ピーナッツ』に登場した最初の女性キャラクターです。
- すべての歴史は彼女から始まりました。
- 誕生日が設定されている!
- パティの誕生日は12月4日。
- これは、主要キャラでもごく一部にしか与えられていない特別な設定なんです。
- 犬を飼っていた?
- 1989年のコミックで、彼女は「ブサイクな犬コンテスト」にフサフサの犬を連れて参加しています。
- スヌーピー以外にペットを飼っている、地味に珍しいキャラクターです。
- 実は年上組?
- コミックの初期、まだチャーリー・ブラウンが学校に通っていない頃に、彼女は既に通学している描写がありました。
- ギャングの中ではお姉さん的な存在だったんですね。
- ゲームの世界で再活躍!
- スマホゲーム『スヌーピー ストリート』では、なんと彼女は風船カートのお店の店主として登場!
- 意外な形でファンとの再会を果たしています。
よくある質問(FAQ)
まとめ 忘れられた功労者、パティへの愛を込めて
パティは、『ピーナッツ』という長大な物語の歴史の中で、その役目を終え、静かに舞台の袖へと消えていきました。
彼女のフェードアウトは、作品が進化し、新しいキャラクターが輝きを放つための、ある意味で自然な新陳代謝だったのかもしれません。
しかし、彼女が初期の物語に与えた影響は、決して小さなものではありませんでした。
彼女の存在なくして、あの強烈なルーシーや、愛らしいサリー、そして快活なペパーミント パティといった、個性的で魅力あふれる女性キャラクターたちが生まれることはなかったでしょう。
パティは、『ピーナッツ』という作品の礎を築いた、忘れ得ぬ功労者なのです。
今度あなたが『ピーナッツ』のアニメを見るときは、ぜひ背景にいるチェック柄のワンピースの女の子を探してみてください。
彼女はきっと、今も仲間たちを静かに見守っているはずですから。
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