泣き言・泣き虫って?ブービーってお名前の女の子とは?
チャールズ・M・シュルツ氏が生み出した不朽の名作『ピーナッツ(Peanuts)』。
スヌーピーやチャーリー・ブラウンといった超有名どころの影で、実は物語をピリリと引き締める「濃すぎる」マイナーキャラたちがわんさかいるのをご存知ですか?
その筆頭格とも言えるのが、今回スポットを当てるテニス界の「泣き言の女王」 ピーナッツの名脇役「クライベイビー」ブービー(”Crybaby” Boobie)です。
彼女の振る舞いを知れば、「あぁ、こういう人、身近にいるわ……」なんて苦笑いしてしまうこと請け合いですよ!
『ピーナッツ』の魅力は、単にかわいいだけじゃない、人間の「負の側面」すらもコミカルに描き切るシュルツ氏の観察眼にあります。
「クライベイビー」ブービー(”Crybaby” Boobie)は、その象徴のような存在。
「不公平だ!」「運が悪い!」と喚き散らす彼女の姿は、一見わがままに見えますが、どこか憎めない人間臭さが漂っています。

本稿では、そんな彼女の記念すべき初登場シーンから、ファンを震撼させた19年越しの「素顔公開」、さらには癖の強すぎる家族構成まで、余すところなく徹底的に掘り下げていきます!
ピーナッツの「クライベイビー(泣き虫)」ブービーの初登場と由来 1978年

チャーリー・ブラウン「モリー、電話があったよ。混合ダブルスのトーナメントが明日から始まるって」 チャーリー・ブラウン「君たちの初戦の相手は、“泣き虫”ブービーだ」 スヌーピー「『泣き虫』ブービー?!」
私たちが彼女の存在を初めて知ったのは、1978年7月3日の新聞連載分。
名前が先行して語られ、そのわずか2日後の7月5日、ついに彼女はコートにその姿を現しました。

モリー「よし、こっち側でレシーブね」
ブービー「そんなの不公平よ!太陽が目に入るじゃない!どうして私たちはいつも太陽を背負ってサーブできないの?!」
モリー「ほらね?言ったでしょ?『泣き虫』ブービーは何にでも文句をつけるのよ!」
ブービー「ネットが高すぎるわ!ボールが死んでる(弾まない)!遅いコートじゃプレーできない!ボールが活きよすぎる!ネットが低すぎるわ!」
「クライベイビー(泣き虫)」という不名誉なニックネーム、これにはちゃんとした(?)理由があるんです。
- とにかく文句が多い!
- 試合中、自分に少しでも不利な風が吹くと、即座に「Whining(泣き言)」が始まります。
- 責任転嫁のプロ
- 自分のミスを棚に上げて「不公平だ!」と叫ぶそのスタイルは、まさにコート上のトラブルメーカー。
この強烈な個性こそが、ピーナッツの名脇役「クライベイビー」ブービー(”Crybaby” Boobie)を語る上で外せないポイントなんです。

モリー「フォルト!」
ブービー「フォルト?!誤審よ!今のボールは入ってたわ!どうしてアウトなんて言えるの?あなた、私を騙してるでしょ!」
モリー「黙れ、『泣き虫』ブービー。そしてサーブしろ!」
スヌーピー「これは長い一日になりそうだ…」

モリー「よし、パートナー。マッチポイントよ…」
モリー「集中しなきゃダメ!それが秘訣よ、パートナー!集中よ!」
スヌーピー「今日、兄さんのスパイクから手紙が届いたんだ…」
スヌーピー「13セント切手のカール・サンドバーグの肖像画がパンチョ・ゴンザレスに似てるって、誰か気づいたことあるかな?」

モリー「アアアアッ!」
ブービー「勝ったわ!!!」
(車の音)「ホーン!ホーン!ホーン!ホーン!」
モリー「誰か殺してやる…」

モリー「『泣き虫』ブービーに負けるなんて!なんて屈辱なの!」
モリー「お祝いを言わなきゃ…」
モリー「どうして私はこのゲームをやってるのかしら…」
モリー「おめでとう、ブービー!」
「クライベイビー(泣き虫)」ブービーのビジュアルと行動パターン
「クライベイビー(泣き虫)」ブービーの描かれ方は、他のキャラクターと比べてもかなり特殊。シュルツ氏の演出が光りまくっています。
泣き虫ブービーの特徴①視覚的なインパクト:口だけの描写

モリー「おい、『泣き虫』、黙ってサーブしたらどうなの?」
ブービー「ボールが軽すぎる!肩が痛いわ!太陽がまぶしくて死にそう!ネットが高すぎる気がする!」
モリー「黙ってサーブしろって言ってるの!」
ブービー「今のは私を動揺させよう(心理戦を仕掛けよう)としてるのね!!」
彼女が登場するコマをよく見てください。
多くの場合、顔の全体像は描かれていません。目に入るのは、大きく開いた口と、その両脇でピンと跳ねた髪の毛だけ。
「顔が見えないのに、どれだけ大声で叫んでいるか手に取るようにわかる」って、シュルツ氏の表現力、凄すぎませんか?
泣き虫ブービーの特徴②トレードマークは「水玉」

モリー「マッチポイントだってのに、あんたは突っ立ってバカな兄貴からの手紙を読んでたわけ?!」
モリー「エースを取られるのも当たり前よ!」
モリー「これから『泣き虫』ブービーにお祝いを言いに行かなきゃならないなんて。死にそうだわ!」
ブービー「いい試合だったわね、みんな!ラ・デ・ダ・デ・ダ♪」
彼女の勝負服は、おしゃれな水玉模様のテニスドレス。
アニメ作品では鮮やかなピンク色で彩られることが多く、ビジュアルの可愛らしさと、口から飛び出す毒言のギャップがたまりません。
泣き虫ブービーの特徴③支離滅裂な不平不満

チャーリー・ブラウン「トーナメント表を確認して、1回戦の相手が誰か見てみよう……」
チャーリー・ブラウン「あちゃあ!相手は『泣き虫』ブービーだよ!近所でも一番の文句ったれなんだ」
ブービー「今日はプレーするには寒すぎるわ!昨日は暑すぎたし!ネットが高すぎるのよ!足が痛い!肘も痛い!」
スヌーピー「彼女を蹴飛ばしてやろうかな……犬なら人を蹴っても許されるはずだ……」
彼女の文句は、時として論理の壁を軽々と越えていきます。
「暑すぎて死にそう!」と怒鳴った数秒後に、昨日は「寒すぎて凍えちゃうわ!」と文句を言う。どんな時も文句が絶えない…
もはや何が正解なのか分かりませんが、この「とにかく現状に満足しない」という一貫したスタンスが、読者の笑いを誘うわけです。
「クライベイビー」ブービーと「バッドコール」ベニーのライバル「モリー」

ライナス「何が起きてるんだい?」
チャーリー・ブラウン「ミックスダブルスのテニストーナメントの1回戦だよ」
チャーリー・ブラウン「スヌーピーとモリー・ボレーが、『泣き虫』ブービーと『誤審(バッドコール)』ベニーと対戦してるんだ!」
チャーリー・ブラウン「ほら?今ちょうど挨拶をしてるところだ……きっと、すごく丁寧にしてるんだろうな……」
モリー・ボレー「あら、そこにいるのは『デブ足』ボレーじゃない!!」

ライナス「信じられない!モリー・ボレーが『誤審』ベニーの口をひっぱたいたぞ!」
モリー・ボレー「坊や、私のことを『デブ足』なんて呼ぶやつはいないわ!!」
ブービー「私のパートナーの口を打つなんて!」
モリー・ボレー「だまってなさい、『泣き虫』!」
スヌーピー「ああ、春が来たというのに……今ごろウィンブルドンにいられたらなぁ……」

ブービー「太陽が眩しすぎてプレーできないわ!風は向かい風だし!このコート、傾いてるわ!ボールも弾まない!」
ブービー「曇りすぎよ!このコートは速すぎるわ!ラケットは重すぎるし!靴はきつすぎる!暑すぎるわ!」
モリー・ボレー「文句を言うのはおやめ、『泣き虫』ブービー!どっちにしろ、誰もあんたの話なんて聞いてないんだから!」
ブービー「それに、誰も私の言うことを聞いてくれないのよ!」
テニスコートを戦場とする彼女には、当然ながら火花を散らす相手がいます。
- スヌーピー
- ビーグル犬相手にも手加減なし(口撃が)。しかし、スヌーピーも黙ってはいません。容赦ないキックで彼女を黙らせるシーンは、もはやお約束のコントです。「1997年3月4日のストーリー」
- モリー・ボレー(Molly Volley)
- 彼女の最大のライバル。勝ち気なモリーに「黙りなさい(Shut up!)」と一喝されるまでがセット。
そして、忘れてはならないのが1982年4月16日に登場した混合ダブルスのパートナー「バッドコール」ベニー(”Badcall” Benny)。
彼は彼女ほど叫びはしませんが、その名の通り、自分に不利な判定をすべて「誤審(Bad call)」だと言い張る困ったちゃん。まさに「割れ鍋に綴じ蓋」、最恐のコンビ結成といったところでしょうか?

「クライベイビー」ブービーの19年越しに明かされた「素顔」衝撃の1997年
テニスの試合でわがまま放題な「泣き虫ブービー」に、スヌーピーが翻弄されつつも最後には……やっとブービーの素顔が公開されます!
スヌーピーとブービーの決勝戦!?シングルでの勝負!蹴とばしたいスヌーピー

ライナス「何が起きてるんだい?」
チャーリー・ブラウン「第1試合だよ……スヌーピーが『泣き虫』ブービーと対戦してるんだ……」
ブービー「誰のサーブなの?太陽がまぶしくてサーブなんて打てないわ!レシーブにするわ!ネットが高すぎるように見える!膝が痛い!耳も痛いわ!」
スヌーピー「彼女を蹴飛ばそうかな……犬なら人を蹴っても許されるはずだ……」

ライナス「今はどっちがリードしてるの?」
チャーリー・ブラウン「さあ、どうだろう……」
ブービー「アウト!今のボールはアウトよ!」
ブービー「アウトに見えたからアウトって言ったのよ!完全にアウトだったわ!」
スヌーピー「ネットを飛び越えて蹴りに行こうか、それともネットを回り込んで蹴りに行こうか?」

ブービー「アウト!そのボールはアウト!完全にアウトよ!」
ブービー「ロング!めちゃくちゃロング!ワイドでしかもロング!完全にアウトよ!」
ブービー「ロング!アウト!完全にアウト!アウト!アウト!」
スヌーピー「もし一度でもコートに入ったら教えてくれよ……」

ブービー「アウト!アウト!」
ブービー「今の、アウトだったわよね、ママ?」
ブービー「ママがアウトだって言ったわ!」
スヌーピー「僕のママなら『イン』って言っただろうに……」

ブービー「またロブ(高く上げた球)だわ!」
ブービー「いつもロブばっかり打つ人とプレーするなんて大嫌い!」
スヌーピー「あれはロブじゃない……僕の渾身のオーバーヘッド・スマッシュだ!」

ブービー「勝った!勝ったわ!私がチャンピオンよ!勝った!!」
ブービー「ねえママ!私、勝ったわ!!」
ブービー「ママ!あの犬、私を蹴ったと思うわ!」
長年、顔のパーツが「口だけ」だった彼女。
ファンは「彼女の本当の顔はどうなっているの?」とずっとヤキモキしていました。その瞬間がついに訪れたのは、初登場から19年が経過した1997年3月10日。
スヌーピーとの対戦後、お尻を蹴られた勢いで、彼女の顔が正面から描かれたのです。
- ブービーの意外な素顔
- 驚くべきことに、その顔立ちはつぶらな瞳、可愛らしいお顔でしたね
- ブービーのつぶらな瞳
- 他のキャラクターと同様、シンプルな黒い点で表現された瞳。
この「最初で最後の素顔公開」は、「ついに伝説がベールを脱いだ!」と思ったよね!
「クライベイビー」ブービーのステージママと謎の兄「家族もまた個性的」
ブービーの性格形成に影響を与えた(?)であろう家族も、かなりのクセモノです。
「クライベイビー」ブービーのお母さま「ステージドア・マザー」

(車の音)「ホーン!ホーン!」
モリー「いい加減にして、『泣き虫』。あんたのお母さんにやめるように言いなさい!」
モリー 「"彼女は車の中に座って、あんたがナイスショットを打つたびにクラクションを鳴らしてるじゃない!"」
モリー「次にあれをやったら、タイヤをもぎ取ってやるから!」
スヌーピー「家にいて、穏やかな犬同士の喧嘩(ドッグファイト)でもしてた方がマシだったな」
彼女の背後には、娘を溺愛する熱狂的な母親が控えています。
娘が良いプレーをするたびに、コート脇に停めた車のクラクションを「パパラパー!」と鳴らして応援。
これがもう、周囲にとっては騒音以外の何物でもありません。
一度、怒り心頭に発したモリー・ボレーが、その車のホイールキャップを引き剥がしてしまったというエピソードがあるほど。親子揃って、テニス界の秩序を乱す天才です。
「クライベイビー」ブービーの幻の兄「ボビー・ブービー」

ライナス:「テニスの試合はどうなってる?」
チャーリー・ブラウン:「『泣き虫』ブービーと彼女の弟がリードしてるよ」
ライナス:「あの車のクラクションを鳴らしてるのは誰?」
チャーリー・ブラウン:「『泣き虫』の母親さ。娘がナイスショットを打つたびに鳴らしてるんだ」
モリー:「いい加減にやめさせなさいよ?!」
ブービー:「私の母のことが嫌いなのね!」
設定上、彼女にはボビー・ブービー(Bobby Boobie)という兄弟がいることになっています。しかし、彼は作中に一度も姿を見せたことがありません。
こうした「名前だけ登場する」というのも、ピーナッツワールドの奥深さを感じさせるスパイスですよね。
「クライベイビー」ブービー最近の活躍 アプリゲームでの復活
連載が終了した今も、ピーナッツの名脇役「クライベイビー」ブービー(”Crybaby” Boobieの人気は衰えていません。
スマートフォン向けゲーム『Snoopy’s Town Tale』では、季節ごとのイベントキャラとして、今なおプレイヤーを(泣き言で)楽しませてくれています。
- 2021年3月: 聖パトリックの祝日イベント
- 2022年7月: 夏のそよ風イベント
- 2023年7月: バック・トゥ・ザ・ビーチ
- 2025年10月: ホーンテッドハウス
もはや、「彼女の文句を聞かないと季節が変わった気がしない」という熱狂的なファンもいるとかいないとか?
「クライベイビー」ブービーのFAQ 「よくある質問」
まとめ 「クライベイビー」ブービーとは周りにいる困ったちゃん?
「クライベイビー」ブービーは、単なる「困ったちゃん」ではありません。彼女がぶちまける不平不満は、私たちが日々の生活で飲み込んでいる「理不尽への怒り」を、極端に、そして滑稽に代弁してくれているようにも見えませんか?
彼女の支離滅裂な言動を笑い飛ばすことで、私たちは自分の小さな悩みも「まぁ、ブービーに比べればマシか」と、少しだけ楽な気持ちになれる。それこそが、シュルツ氏が彼女をテニスコートに送り出した真の理由なのかもしれません。
次にコミックを開くときは、ぜひこの賑やかすぎる「泣き言女王」の登場シーンを探してみてください。きっと、今まで以上にピーナッツの世界が色彩豊かに(そして騒がしく)見えるはずですよ!
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