『ピーナッツ』と聞いて、あなたが思い浮かべるのは誰でしょう?
いつも不運なチャーリー・ブラウン?
それとも、クールで哲学的なビーグルのスヌーピー?
口うるさいけどどこか憎めないルーシーや、安心な毛布が手放せないライナスを挙げる人も多いはず。
でも、物語の終盤、まるで彗星のように現れ、作品そのものを乗っ取ってしまったかのような存在感を放ったキャラクターがいたことを、あなたはご存知でしょうか?
その子の名は、リラン・ヴァン・ペルト。
ルーシーとライナスの、一番下の弟です。
最初はただの物言わぬ赤ん坊だった彼が、いつしか作者チャールズ・M・シュルツの最後のミューズとなり、子供らしい純粋さと、ドキッとするほど大人びた洞察力で物語のラストスパートを駆け抜けました。
リランの存在なくして、後期の『ピーナッツ』は語れません!

リランというキャラクターの誕生シーンについて
途中からリランの登場が減ってきた?(消えかけた冬の時代)
チャールズ・M・シュルツさんのあるキッカケでリランが再び登場
さらにはリランが『ピーナッツ』という壮大な物語において果たした本当の役割まで、あらゆる角度から徹底的に、そして愛情たっぷりに掘り下げていきます。
さあ、あなたも知らなかったリランの奥深い世界へ、ようこそ!
「再放送」と名付けられた男の子:リランのちょっと変わった誕生

リランが『ピーナッツ』の世界にひょっこり顔を出したのは、1972年5月23日のこと。
当時、ルーシーはライナスを家から追い出そうと躍起になっていました。
そんな中、お母さんから告げられた衝撃の事実。
「あなたに新しい弟ができたのよ」。
予期せぬ(?)タイミングでの登場でした。

リランの誕生 まさかの名前の由来

彼の「リラン(Rerun)」という名前、実はとんでもなくユニークな経緯で決まったんです。
二人目の弟ができたことに対して、姉のルーシーが「まるでテレビの再放送(rerun)みたい」と皮肉たっぷりに言ったのを聞いた兄のライナス。
「それ、いい名前じゃない?」なんて言い出したのがきっかけでした。
もちろん、ルーシーは「リラン・ヴァン・ペルト…なんてこった!」と頭を抱えましたが、この名前がすっかり定着。
一部のコミックでは名前が引用符で囲まれ、愛称であることが示唆されていましたが、後になってリラン自身が「他の名前は知らない」と語る場面も。
結局、彼に本名があったのかどうかは、永遠の謎のままなのです。面白いですよね?

初期の姿:恐怖の自転車と野球スキャンダル

生まれてから約1年後の1973年3月、ようやくリランはキャラクターとして姿を現します。
でも、最初の頃の彼は、セリフのない、ただの赤ん坊。
彼の仕事といえば、お母さんが運転する自転車の後部座席で、恐怖におののくことだけ!
迫りくる縁石、巨大なトラック、地面のひび割れ…。
彼の目を通して見る世界は、まさにサバイバルそのものでした。
この無力感と外界への恐怖は、リランの初期を象徴する、忘れられないイメージです。

そして、登場してすぐに大事件を巻き起こします。
なんと、チャーリー・ブラウン率いる万年最下位の野球チームに電撃加入!
しかも、チームを初勝利に導くという快挙を成し遂げたのです。
…が、しかし! その勝利が、リランとスヌーピーが裏で仕組んだ賭け事の結果だったことがバレてしまい、試合は没収。
いきなりスキャンダルの主役になってしまうなんて、やっぱりヴァン・ペルト家の血筋はただ者じゃありません。

消えた80年代:作者シュルツの苦悩とリランの冬

70年代に強烈なデビューを飾ったリランですが、1980年代に入ると、パタリと出番がなくなってしまいます。
まるで存在を忘れられたかのように、彼は物語の背景へと追いやられてしまいました。
これには、作者であるチャールズ・M・シュルツ氏自身の苦悩が大きく関係していました。
彼は後年、「リランをどう使えばいいか、アイデアが尽きてしまったんだ」と告白しています。
一度生み出してしまった以上、完全に消すわけにもいかない。
でも、物語の中でどう動かせばいいのか分からない…。
主要キャラクターの弟という重要なポジションでありながら、作者自身がその扱いを持て余していた、まさに「冬の時代」でした。
この頃のリランは、ルーシーが何かを宣言している横で、ただ哺乳瓶を静かに持ち上げていたりする、完全に受け身の存在。
まるで、物語の片隅で息をひそめているようでした。
奇跡のカムバック!90年代、リランが『ピーナッツ』を乗っ取った日

長い沈黙を破り、リランが再びスポットライトを浴び始めたのは1990年代に入ってからのこと。
シュルツ氏は、自身の孫の存在が、忘れかけていたこの末っ子キャラクターに再び命を吹き込むきっかけになったのではないかと語っています。
そして、ここからがリランの真骨頂!
赤ん坊から幼児へと成長した彼は、まるで堰を切ったようにその個性を爆発させます。
シュルツ氏自身が「リランがコミックを乗っ取った」と表現するほど、彼の存在感は日増しに大きくなっていきました。
リランは犬が欲しい!スヌーピーとの奇妙で最高な友情

リランの最大の願い、それは「自分の犬を飼うこと」。
でも、お母さんは絶対に許してくれません。
そこで彼が思いついたのが、チャーリー・ブラウンからスヌーピーを「借りる」こと!
頻繁にブラウン家を訪れては、「スヌーピーを貸してくれない?」と交渉します。


時には、スヌーピーの兄弟であるスパイクを砂漠から連れてきて、自分のペットにしようと画策したことも。
この「犬が欲しい」という切実な願いを通して、リランとスヌーピーの間には、他の誰とも違う、特別で最高に面白い関係が築かれていきます。
二人が一緒にカードゲームをしたり、雪の中を冒険したりする姿は、後期の『ピーナッツ』を代表する名シーンです。
リランは、大人びた悩みや素朴な疑問をスヌーピーに打ち明け、スヌーピーは(心の中で)皮肉を言ったり呆れたりしながらも、彼の最高の話し相手となるのです。
このやり取り、本当にたまらない!




リランは幼稚園は嫌い!?アンダーグラウンド・コミックに魂を燃やす芸術家

1996年、5歳になったリランは幼稚園に入園します。
が、これがまた一筋縄ではいきません。
毎朝のように学校へ行くのを嫌がり、ベッドの下に隠れてしまうのがお決まりに。
姉のルーシーが説得に来ても、あの手この手で抵抗します。

そして学校では、先生から「お花の絵を描きましょう」と言われても、彼は断固として自分の好きな絵を描き続けます。
彼が情熱を注ぐのは、奇妙なキャラクターたちが登場する「アンダーグラウンド・コミック」。
もちろん、周りの子からは「何を描いてるのか全然わかんない」なんて言われますが、彼は全く気にしません。
この姿には、商業主義に流れず、自分の描きたいものを描き続けた漫画家としてのシュルツ氏自身の哲学が、色濃く投影されていると言えるでしょう。
リランと言うことを聞かないバスケットボールとの戦い

兄のライナスにバスケットボールを教わって以来、リランは練習に励むようになります。
しかし、これが全く上達しない!
何度やってもゴールに入らないボールに腹を立て、ボールを蹴飛ばすと、それが壁に当たって自分に跳ね返ってくる…というギャグは、彼の不器用さと可愛らしさが詰まった名作です。
ある時には、あまりにも言うことを聞かないバスケットボールをクローゼットに閉じ込め、「行儀よくなるまで出てきちゃだめだ!」と言い放つシーンも。
モノにまで人格を認め、真剣に格闘する姿は、まさに『ピーナッツ』の世界観そのものです。

リランの好き・嫌いは?
リランの好き・嫌いを紹介します。
とっても可愛い好き嫌いで、キュートなキャラですよね。
好き | 嫌い |
---|---|
絵を描いたりすること。 | スヌーピーと遊んだりすること。ライナスの恥ずかしい癖。 他の子供たちと遊ぶには自分が小さすぎること。 トラブルを起こすこと。 幼稚園のクラスで花を描かなければならないこと。 スヌーピーが彼と遊ぶことを拒否すること。 | 母親の自転車の後ろに乗ること(時々)。
個性がぶつかり合う!リランを取り巻く人間(?)関係

リランの魅力は、他のキャラクターとの関わり合いの中で、さらに輝きを増します。
- 姉ルーシーとの関係
- 兄ライナスにはガミガミ言うルーシーも、末っ子のリランには意外と優しい一面を見せることがありました。
- 靴紐の結び方を根気強く教えたり、幼稚園での出来事を真剣に聞いてあげたり。
- でも、リランがライナスのような変な癖を見せ始めると、「あなたのお兄ちゃんは石頭なのよ!」と厳しく注意する、過保護な姉でもありました。
- しかし、リランも負けてはいません。
- 積み木を崩したらどうするかとルーシーに脅された時、
- 「今は何もしない。でも何年も経って、君たちが家を買う時、僕が連帯保証人になるのを断る」
- と冷静に切り返し、ルーシーを絶句させたエピソードはあまりにも有名です。頭いい!
- 兄ライナスとの関係
- 直接的な絡みは少ないものの、兄弟の絆を感じさせるシーンがいくつかあります。
- リランは、ライナスの「安心な毛布」や「かぼちゃ大王」を信じる習慣を、ちょっと恥ずかしいと思っていたフシがあります。
- それでも、ライナスはリランにとって頼れるお兄ちゃん。
- かつてルーシーに映画『市民ケーン』の結末をバラされて激怒したライナスが、数年後、リランが同じ目に遭いそうになった時に身を挺してルーシーを止めるシーンは、グッときます。
- チャーリー・ブラウンとの関係
- 野球チームへの入団を巡って、二人の関係は描かれます。
- 幼児期に一度スキャンダルを起こしたリランですが、成長して再び入団を熱望!
- しかしチャーリー・ブラウンは「君は若すぎるし、小さすぎる」と頑なに拒否。
- するとリラン、「それは差別だ!」とまさかの反論。
- 挙句の果てに、スヌーピーを「世界的に有名な弁護士」として雇い、プレーする権利を勝ち取るという、とんでもない展開にまで発展しました。
- 彼の行動力、恐るべし!
よくある質問(FAQ)
まとめ:『ピーナッツ』の最終章を照らした小さな巨人
リラン・ヴァン・ペルト。彼は、当初はほとんどセリフもない、背景の一部のようなキャラクターでした。
作者にすら忘れかけられた不遇の時代もありました。
しかし、1990年代以降、彼は見事な復活を遂げ、『ピーナッツ』という50年続いた壮大な物語に、新しい視点と、これまでにない深み、そして極上のユーモアをもたらす、絶対に欠かせない存在へと成長しました。
彼の目を通して描かれる幼稚園の理不尽な日常、犬を心から欲しがる純粋な願い、そしてスヌーピーとの心温まる交流は、物語の最終章を豊かに、そして優しく彩りました。
物言わぬ赤ん坊から、物語の中心で燦然と輝くスターへと駆け上がったリランの軌跡は、『ピーナッツ』が決して古びることなく、常に進化し続けた傑作であったことの、何よりの証拠と言えるでしょう。
彼の純粋でありながら、時にドキッとするほどシニカルな視点は、これからもずっと、私たちに多くのことを語りかけてくれるはずです。
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