はじめに スヌーピーの世界に紛れ込んだ「数字」の少年5
世界中で愛され続けているチャールズ・M・シュルツ氏の名作コミック『ピーナッツ(Peanuts)』。チャーリー・ブラウンの優しさやスヌーピーの変装劇に癒やされているファンは多いですよね。でも、そんなほのぼのとした世界の中に、ひときわ異彩を放つ、ちょっとパンクで哲学的なキャラクターがいたことを覚えていますか?
主要キャラクターの陰に隠れがちですが、非常にユニークで記憶に残る人物、それが「555 95472」、通称「5(ファイブ)」と呼ばれる少年です。
「えっ、誰それ?」と思った方も、「ああ、あのツンツン頭の子!」と思い出した方もいるでしょう。一見するとただのモブキャラクターのように思えますが、実は彼の存在には、シュルツ氏の当時の社会に対する鋭い風刺や、個人的なメッセージが色濃く反映されているんです。

本記事では、この不思議な名前を持つ少年「5」について、その歴史、性格、家族構成、そしてマニアも唸る意外なトリビアに至るまで、どこよりも詳しく解説していきます。読み終わる頃には、あなたもきっとこの「数字少年」の虜になっているはずですよ!
ピーナッツの数字の少年「555 95472」とは何者か?名前の衝撃的な由来
「5(ファイブ)」という愛称で親しまれている彼の本名は、数字だけの羅列である「555 95472」です。キラキラネームどころの話ではありません。なぜこのような奇妙な名前が付けられたのでしょうか? そこには1960年代のアメリカ社会における「ある大きな変化」が関わっています。
ピーナッツの数字の少年「5(ファイブ)」郵便番号制度への抵抗と「降伏」

ライナス「君の名前が何だって?」
5(ファイブ)「僕の名前は『5』だよ!」
5(ファイブ)「父さんが言うんだ。最近は数字が多すぎて、みんな個性を失いつつあるって…」
5(ファイブ)「だから父さんは、家族全員、名前の代わりに数字を名乗ることに決めたんだ」
ライナス「チャーリー・ブラウン、君に『5』を紹介するよ!」
チャーリー・ブラウン「なんてこった!」
彼が初めてコミックに登場したのは、1963年9月30日のこと。歴史好きな方ならピンとくるかもしれませんが、この年はアメリカで郵便番号制度(ZIPコード)が導入されたまさにその年なんです。
当時、社会の急速な効率化や自動化が進み、人々は社会保障番号や市外局番など、次々と「数字」によって管理・識別されるようになっていました。作者のチャールズ・M・シュルツ氏は、個人のアイデンティティが数字に置き換えられていくこの世相に対し、強い違和感と不安、そしてある種の不満を抱いていました。
このモヤモヤした感情を作品内で表現するために生まれたのが、「5」とその家族です。

ルーシー「5(ファイブ)? あんたの名前が『5』? 一体全体、どんな名前よそれ?」
5(ファイブ)「僕の父さんは、最近の世の中があらゆるものに番号をつけたがることに嫌気がさしてさ……それで僕らの名前を数字に変えちゃったんだ……」
ルーシー「それって、お父さんなりの抵抗なわけ?」
5(ファイブ)「いや、お父さんなりの屈服だよ!」
作中の設定は非常にシニカルです。5の父親もまた、生活の中に溢れかえる数字に対してヒステリックなまでに憂鬱を感じていました。普通ならそこで「反対運動」を起こしそうなものですが、シュルツ氏の描く世界は一味違います。彼は抵抗するのではなく、むしろ「完全に屈服する(giving in)」という斜め上の解決策を選び、家族の名前をすべて数字に変えてしまったのです。
「どうせ数字で管理されるなら、自分から数字になってやる!」という、一種の自虐的なユーモアと諦念が込められているわけですね。
ピーナッツの数字の少年の姓「95472」が示す具体的な場所とは?

5(ファイブ)「僕たちの苗字は『95472』なんだ。実はこれ、郵便番号なんだよ…」
5(ファイブ)「実際のところ、それがすべての始まりだったんだ。ある晩、その数字のせいで父さんが完全にノイローゼになっちゃってね」
5(ファイブ)「僕の本名は『555 95472』だけど、みんな短く『5』って呼ぶんだ。僕には『3』と『4』っていう名前の妹が二人いるよ」
チャーリー・ブラウン「そりゃまた…素敵な女性らしい名前だね…」
5(ファイブ)「僕らもそう思ってるんだ」
さて、彼の姓である「95472」という数字。これは適当にキーボードを叩いて決めたものではありません。実はこれ、当時シュルツ氏が実際に住んでいたカリフォルニア州セバストポル(Sebastopol)の実際の郵便番号なんです。
これはファンにとってはたまらない聖地巡礼ポイントです。つまり、5の名字が「95472」であるという事実は、『ピーナッツ』の世界観がカリフォルニア州セバストポル、あるいはその近隣のフリーストーン(Freestone)に設定されていることを示唆する、極めて重要な手がかりとなっているのです。
シュルツ氏の言葉
「子供は苦しまなければならない…だが、子供はその状況を乗り越える方法を学ぶものだ」
(5の名前と、奇抜な行動に出た彼の父親について)
この言葉通り、5は奇妙な名前を背負わされながらも、それを淡々と受け入れてたくましく生きています。
数字の少年「5」のプロフィールとその魅力とは
5は、単なる一発屋のギャグキャラクターではありませんでした。なんと約20年にわたり断続的に登場し続け、ピーナッツ・ギャングの一員として確固たる地位を築いていたのです。
数字の少年5(ファイブ)の外見的特徴 スパイキーヘアと「5」のシャツ



数字の少年「5」を見分けるのはとても簡単です。
- 髪型
- 最も特徴的なのは、そのツンツンと尖ったスパイキーヘアです。パンクロッカーも顔負けの逆立ちヘアですね。カラー版のコミックやアニメーションでは、彼の髪はしばしば金色(ブロンド)で描かれますが、作品の時期によっては茶色に見えることもあります。髪の毛の長さや本数が時期によって微妙に異なるのも、手描きならではの味わいです。
- 服装
- 初期の登場では無地のシャツを着ていましたが、キャラ立ちを意識してか、1965年4月18日以降は、胸に大きく数字の「5」がプリントされたシャツをトレードマークとして着用するようになりました。これで誰が見ても「あ、5だ」と分かりますね。
数字の少年5(ファイブ)の性格 礼儀正しさとユーモア

チャーリー・ブラウン「やあ、5。学校はどうだい?」
5(ファイブ)「先生が僕の名前を何度も読み間違えるんだ……」
5(ファイブ)「いつも僕のことを『5 95472(ツー)』って呼ぶんだよ……」
5(ファイブ)「アクセントは『4(フォー)』のところにあるって、もう何十回も言ってるのに!」
端役であるため、チャーリー・ブラウンほど詳細な内面描写はありませんが、初期のコミックストリップからは彼の実直で面白い性格が読み取れます。
- 忍耐強さ
- 5(ファイブ)は自分の奇妙な名前について、初対面の相手に説明する際、非常に忍耐強く、かつ熱心に語ります。「親がおかしくなっちゃってさ…」と愚痴るのではなく、事実として淡々と伝える姿がいじらしいのです。
- アクセントへのこだわり
- 5(ファイブ)のこだわり。1963年11月5日のストリップで、先生に対して「姓のアクセントは4(95472)にあるんです」と訂正し続けるシーンがあります。数字の羅列にアクセントも何もないだろう!とツッコミたくなりますが、彼にとっては譲れないアイデンティティなのでしょう。
- ユーモアのセンス
- お金持ち自慢や親自慢をするバイオレットに対し、ウィットに富んだ返しをするなど、知的でクールな一面も見せています。
数字の少年5(ファイブ) 作中での役割と人間関係とは?

5(ファイブ)「やあ、ワンちゃん……」
5(ファイブ)「僕の名前は5……。この近所に新しく越してきたんだ……」
スヌーピー「名前を覚えるのはどうも苦手だ……。あの子、今『Ⅴ』って言ったかな、それとも『5』だったかな?」
- チャーリー・ブラウンとの関係
- よき友人であり、あの弱小野球チームのチームメイトでもあります。内野手として描かれています。
- スヌーピーの反応
- 1963年10月の自己紹介シーンでは、スヌーピーが「5(数字)」なのか「V(ローマ数字)」なのか混乱するというコミカルな描写がありました。犬にとっても紛らわしい名前のようです。
- 学校
- 当初はチャーリー・ブラウンやライナスと同じ学校に通っていましたが、後の1974年にはペパーミント・パティやロイと同じ学校の生徒として描かれています。転校したのか、学区の変更があったのかは謎に包まれています。

シュローダー「ヘイ、監督……問題発生だ!」
チャーリー・ブラウン「慣れっこだよ……」
シュローダー「今日は二塁ベースがないんだ。だからスヌーピーの皿を使えばいいかと思って……」
チャーリー・ブラウン「練習ならそれで十分だろう」
スヌーピーが自分の皿を「ベース」にされて激怒し、ランナーを威嚇しています。
チャーリー・ブラウン「今日は一日中、ヒット(シングル)しか打てない日になりそうだな」
数字の少年5(ファイブ) その95472一家の奇妙な家族構成

5(ファイブ)は一人っ子ではありません。彼の父親の狂気じみた(?)「数字化計画」は、家族全員に及んでいました。シュルツ氏の徹底ぶりがうかがえる家族構成を見てみましょう。
| 名前(通称) | 関係 | 特徴 |
| 5 (Five) | 本人 | 本名:555 95472。長男。一家の代表格。 |
| 3 (Three) | 姉妹 | 双子の姉妹のひとり。登場回数は少ないがダンスが得意。 |
| 4 (Four) | 姉妹 | 双子の姉妹のもうひとり。3とセットで登場することが多い。 |
| Mr. 95472 | 父 | 数字社会に絶望し、家族の名前を数字に変えた張本人。顔はほとんど出ない。 |
驚くべきことに、姉妹の名前は「3」と「4」です。「1」と「2」はどこへ行ったのか? おそらく両親がそれにあたるのでしょうが、作中で明確に語られてはいません。

3「やあ、お姉さん。私の名前は『3』、で、こっちの妹の名前は『4』よ…」
3「お兄ちゃんの名前は『5』。もう会ったと思うけど…私たちの名字は『95472』っていうの」
ルーシー「数字、数字、また数字…」
3「お父さん、最近すごくイライラしやすくて…頭が痛いって言ってるわ」

スヌーピー「あのおかしな名前の女の子たちがやってきたぞ……」
スヌーピー(「3」と「4」か)
スヌーピー(番号付きの子供たち……全くだ、素晴らしいね……)
スヌーピー(そのうち、子供は産まれるもんじゃなくなって、注文して届けてもらうものになるんだろうな!)
数字の少年5(ファイブ)メディアへの出演 アニメーションでの活躍
コミックだけでなく、5は多くのアニメーション作品にも登場しています。特に有名なのは、クリスマスの時期になると世界中で放送されるあの名作です。
数字の少年5(ファイブ)『チャーリー・ブラウンのクリスマス』でのダンス
1965年のテレビ・スペシャル『A Charlie Brown Christmas(チャーリー・ブラウンのクリスマス)』を観たことはありますか? 劇中の講堂で子供たちがジャズの名曲「Linus and Lucy」に合わせて踊るシーンは、アニメーション史に残る名場面です。
ここで、オレンジ色のシャツを着て、独特なカクカクした動きで頭を前後に振っているのが「5」です。隣で踊っているのが双子の姉妹「3」と「4」と言われています。
数字の少年5(ファイブ) 貴重な「声」の出演
アニメーションにおいて、5は基本的に「サイレント(無言)」のキャラクター、つまり背景の一部として描かれることが多いですが、例外的にセリフがある作品も存在します。
- 『He’s Your Dog, Charlie Brown』(1968)
- 『It’s Flashbeagle, Charlie Brown』(1984)
特筆すべきは、彼が38年間(1984年から2022年の間)もの長い間、アニメーション作品で沈黙を守り続けたという点です。これは再登場するキャラクターとしては異例の長さ。最近のApple TV+の作品で久しぶりに彼の姿や声が確認されたときは、古くからのファンを驚かせました。
マニアも驚く!数字の少年5(ファイブ)に関するディープなトリビア
ここまで読んで、かなり5に詳しくなったと思いますが、さらに一歩踏み込んでみましょう。「へぇ〜!」と言われること間違いなしのトリビアです。

ペパーミント・パティ「まかせて!」
ライナス「ぼくがやる!」
スヌーピー(ぼくにまかせて!)
5(ファイブ)「オーライ!」
チャーリー・ブラウン「オーライ!」
ルーシー「まかせて!」
ボンッ! ボンッ! ボンッ!……(ボールが全員の頭を弾んでいく音)
シュローダー「きみの言う通りだ……頭に6回ぶつかったのは新記録だよ……」
- 最も長生きした「端役」
- 5は1963年から1983年まで、約20年間にわたり登場しました。これはシャーミーやパティ(ペパーミントではない方)、ユードラといった他のサブキャラクターよりも圧倒的に長い期間です。シュルツ氏にとっても、使い勝手の良い、ある種のお気に入りキャラだったのかもしれません。
- ペットはカメレオン
- スヌーピーの世界では、子供たちは犬を飼うのが一般的ですが、5は違います。彼には「ジョージ」という名前のペットのカメレオンがいるのです。ここでのツッコミポイントは、「なぜペットには普通の名前をつけたのか?」ということ。そこは数字じゃないんかい!という矛盾が、逆にシュルツ氏のユーモアを感じさせます。
- フリーダへの想い?
- アニメ『It’s Flashbeagle, Charlie Brown』において、5は「自然な巻き毛」が自慢の女の子、フリーダとダンスを踊っています。普段はあまり接点のない二人ですが、この描写から、ファンの間では「5はもしかしてフリーダに気があるのでは?」というロマンスの推測がなされています。無口な彼が、おしゃべりなフリーダに惹かれる……ありそうな話ですよね。
- 消えた後の行方
- 1983年5月22日を最後に、彼はコミックストリップからふっつりと姿を消しました。それ以降、背景キャラクターとしても登場することはなくなりました。恐らく、郵便番号や数字による管理が「当たり前」の社会になり、彼の存在意義である「風刺」の役割が終わったからかもしれません。しかし、近年の『スヌーピー・ショウ(The Snoopy Show)』などの新作アニメで、懐かしい姿を再び見ることができます。
数字の少年5(ファイブ) よくある質問 (FAQ)
まとめ 時代が生んだアイコニックな数字少年5(ファイブ)
「555 95472」は、単なる奇抜な名前のキャラクターではありません。彼は、1960年代の急速な社会変化に対するチャールズ・シュルツ氏の鋭い観察眼と、ユーモアを交えた抵抗(あるいは降伏)の象徴でした。
無機質な数字を、愛すべき少年のアイデンティティに変えてしまったシュルツ氏の手腕。それこそが、5が「端役」でありながらも、半世紀以上を経てなお私たちの心に残り、こうして語り継がれている理由なのかもしれません。「社会のシステムが変わっても、子供の本質は変わらない」というメッセージが、彼の存在を通して伝わってくるようです。
次に『ピーナッツ』のコミックやアニメを見る際は、スヌーピーの後ろで踊っている、あのツンツン頭の少年にぜひ注目してみてください。彼もまた、愛すべきピーナッツ・ギャングの欠かせない一員なのですから。
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