チャールズ・M・シュルツ氏が半世紀以上にわたって描き続けた不朽の名作『ピーナッツ』。
この作品の凄みは、チャーリー・ブラウンやスヌーピーといった主役級だけでなく、脇を固めるキャラクター一人ひとりに血が通っていることですよね。
ピーナッツの脇役「メイナード」について紹介しますね!

今回スポットを当てるのは、1986年に彗星のごとく(?)現れた、あの鼻持ちならない家庭教師。そう、ピーナッツ(Peanuts)の隠れた名脇役「メイナード(Maynard)」について紹介です。
ピーナッツ(Peanuts)の名脇役「メイナード(Maynard)」って?
「え、誰だっけ?」なんて言わないでくださいね。メイナードは、わずか数回の登場ながら、読者の心にチクリと刺さるトゲのようなインパクトを残したキャラクターなんです。
彼はペパーミント パティの成績を救うべく現れた「救世主」……のはずでしたが、その実態はかなりの曲者。
教育者としてのモラルはどこへやら、初対面で相手をバカにする傲慢さと、妙に現実的な金銭感覚。そんな彼がなぜ、今なおファンの間で語り継がれるのか?
その魅力を、ちょっと皮肉を交えながら深掘りしていきましょう。
インテリ系「メイナード」の初登場と家庭教師としての役割
それは1986年7月21日のことでした。
万年「D-」評価で、授業中は居眠りばかりのペパーミント パティ。そんな彼女を見かねた父親が、背に腹は代えられないと雇ったのがメイナードだったんです。
ところが、このメイナード、登場の仕方が最悪でした(笑)。期待に胸を膨らませて(あるいは渋々)家庭教師を待っていたパティに対し、彼が放った衝撃の第一声がこちら。

ペパーミント パティ「パパと先生が、私に家庭教師が必要だって考えてるみたいなの」
ペパーミント パティ「まあ、新学期を良いスタートにするためなんだけど…」
ペパーミント パティ「おっと、誰か来たわ…たぶん家庭教師ね」
メイナード「やぁ!君がマヌケな子かい?」
「君がデキの悪い子(the dumb one)かい?」
おいおい、初対面でそれかよ!って突っ込みたくなりますよね。
これ、現代なら即刻クビレベルの暴言ですが、シュルツ氏はこの一言でメイナードという男の本質を見事に描き出しました。
彼はただの助っ人じゃなく、パティのプライドを逆なでする「天敵」として配置されたわけです。

家庭教師「メイナード」が挨拶代わりに出した第一声が、あまりにも失礼で直球すぎます。


ペパーミント パティ「あなたが新しい家庭教師?どうやって私を見つけたの?」
メイナード「ええと、家の前に数字が書いてあるだろ、それを見て…」
ペパーミント パティ「ジョー・皮肉屋さんね」
ペパーミント パティ「中に入ったほうがいいわ。外で殴ったら、階段から落ちちゃうもの!」



住所(番地)を頼りに来たという当たり前の回答を「皮肉」と受け取り、パティが物騒な脅しで返します。
ペパーミント パティとメイナードの衝突 二人の「上から目線」


メイナード「よし、算数から始めよう。30かける50は?」
ペパーミント パティ「大人になったら、女子プロゴルフツアーに出るつもりなの…そんなこと知る必要ないわ」
メイナード「スコアをつけるのはどうするんだ?数字を知らなきゃ…」
ペパーミント パティ「2と3と4だけで十分よ!」
この二人のやり取り、もう見ていてハラハラするというか、笑っちゃうというか……。メイナードの態度は一貫して冷淡でした。
痛烈な皮肉


メイナード「世界の情勢を理解するには、地理の知識が重要なんだ」
ペパーミント パティ「パパが一度パリに連れて行ってくれたわ…フランス語も学んだわよ。『ボンジュール、キッド!』…どう?」
メイナード「君がなぜDマイナスばかり取っているのか分かってきたよ…」
ペパーミント パティ「先生たちは鼻が大きい子が嫌いなのよ!」
「先生たちが君に『D-』をつけるのが、わかってきたよ」なんて、子供に言うセリフじゃありません。
あだ名での応戦


ペパーミント パティ「オーケー、キャプテン・チューター。どこから始める?」
メイナード「キャプテン・チューターって呼ぶな…僕の名前はメイナードだ」
メイナード「どこから始める?一番苦手な科目は何だと思う?」
ペパーミント パティ「何でも言って。全部苦手だから!」
もちろん、タダで引き下がるパティじゃありません。彼女は彼を「キャプテン・チューター(家庭教師隊長)」と呼び、小馬鹿にします。
名前の訂正


ペパーミント パティ「今は話せないわ、マーシー…キャプテン・チューターが来てるの」
メイナード「キャプテン・チューターって呼ぶな!僕の名前はメイナードだ!!」
ペパーミント パティ「遊びに来なさいよ、マーシー。この子に会うべきだわ。あんたのタイプよ…変なやつ!」
ペパーミント パティ「割り込んでごめんなさいね、キャプテン…」
メイナード「僕の名前はメイナードだ」
呼ばれるたびに「僕の名前はメイナードだ」とムキになって訂正する彼。まさに「目には目を、歯には歯を」ならぬ「上から目線には上から目線」の応酬。この険悪な空気感こそが、メイナード編の醍醐味なんです。



メイナードが名前を訂正し続けているのに、パティは確信犯的に呼び間違え続けています。
マーシーとの意外な血縁関係 衝撃の事実 インテリ系「メイナード」の秘密


ペパーミント パティ「マーシー!入ってきてキャプテン・チューターに会って…」
メイナード「僕の名前はメイナードだ!」
マーシー「いとこのメイナードよ!」
ペパーミント パティ「彼、あんたのいとこなの?」
マーシー「ねえ、彼が家庭教師をしてお金をもらってるって知ってた?」
ペパーミント パティ「お金をもらってるの?!」
メイナード「うぁああああ!!」
ペパーミント パティ「ごめん、キッド…善意でやってくれてるんだと思ってたわ!」
さて、ここで物語は急展開を迎えます。パティの親友であり、常に彼女を「先輩(Sir)」と呼んで慕う(?)あのマーシーが登場するのですが、彼女の口から驚愕の事実が明かされます。
なんと、メイナードはマーシーの「従兄弟(いとこ)」だったんです!
これにはパティも、そして読者も「マジかよ!?」とひっくり返りましたよね。
さらに、マーシーはパティの知らないところで「家庭教師の裏側」を暴露しちゃいます。
パティはてっきり、メイナードが親切心やボランティアで教えてくれていると思い込んでいたのですが、実はしっかりとお金をもらって働いていたんです。
「友情パワーで教えてくれてるんじゃなかったの!?」と激怒したパティ。
結果、メイナードはあえなく解雇され、家を追い出されることに。その際、彼は新約聖書(ルカによる福音書)を引用してこう言い放ちました。


メイナード「なんで僕を放り出したんだ?!」
ペパーミント パティ「マーシーが、あんたがお金をもらって教えてるって言ったのよ!善意でやるべきでしょ!」
メイナード「『労働者が報酬を得るのは当然である』ルカによる福音書10章7節(※原文は10:4と誤記)」
マーシー「彼は聖書を引用しているわ、先輩」
ペパーミント パティ「それって公平?」
「働く者が報酬を得るのは当然だ(The laborer is worthy of his hire)」
捨て台詞までインテリ気取り!この潔いエリート意識。これがメイナードという男の真骨頂です。



これに関しては「メイナード」悪くないんじゃないかな??労働には対価は必要だと思うのですが…
インテリ系「メイナード」のキャラクターデザインと特徴
『ピーナッツ』のキャラを見分けるとき、皆さんはどこに注目しますか?実は、メイナードには他の主要キャラにはない「異質な特徴」があるんです。
インテリ系「メイナード」目の描き方(強膜がある目)


通常、チャーリー・ブラウンやルーシー、ライナスの目は、シンプルな「点」や「コンマ」で描かれていますよね。でも、メイナードをよく見てください。彼には白目(強膜)があるんです。
この描き方は、シュルツ氏が特定のゲストキャラクター(例えば、ライナスが恋したトラッフルズなど)にのみ用いる手法でした。これによって、メイナードは「いつもの仲間たち」とは違う、どこか冷めていて、よそよそしい異物感を醸し出しているんです。デザイン一つで性格を表現するシュルツ氏の技、恐るべしですね。
相関図 ルーシーのいとこ「メイナード」を取り巻く人間関係
ここで、彼の複雑な(?)立ち位置を整理してみましょう。
| 登場人物 | メイナードへの関係 | メイナードからの視点 |
| ペパーミント パティ | 嫌悪感・反発(宿敵) | 「デキの悪い生徒」として見下す |
| マーシー | 従兄弟(血縁関係) | 親戚としての付き合い(ビジネスライク?) |
| パティの父親 | 雇い主(クライアント) | 報酬を支払う対象 |
こうしてみると、彼はあくまで「ビジネス」でこの世界に介入してきたことがよく分かりますね。
人間味ある「メイナード」の豆知識と近年の再登場
原作での出番は決して長くはありませんでしたが、彼は「知る人ぞ知る名キャラ」として、今なお愛されています。
聖書の引用ミスという「人間味」?メイナードの豆知識
1986年7月29日のストリップで、彼は例の報酬に関する言葉を「ルカによる福音書10章4節」と言っていますが、実はこれ、正しくは「10章7節」なんです。
自称エリートの彼が、肝心なところで引用を間違える。
これがシュルツ氏の計算された演出(彼のプライドをへし折るため)なのか、あるいは単なる書き損じなのか……
どちらにせよ、完璧主義に見えてどこか抜けているメイナードらしさが爆発しているエピソードです。
デジタル世界での復活 「メイナード」の再登場
驚くべきことに、彼は現代のゲームやアニメにも顔を出しています!
- Snoopy’s Street Fair: 巨大なチェスボードを所有するキャラとして登場。
- Snoopy’s Town Tale: ハロウィンイベントなどに定期的に顔を出します。
- アニメーション: 2021年の『あけまして、チャーリー・ブラウン』や、2023年の『唯一無二のマーシー』にも登場。
声優のジャクソン・リード氏が、同じく嫌味なキャラであるティボー(Thibault)と兼任しているのも、「納得の配役!」という感じですよね。
FAQ エリート「メイナード」に関するよくある質問
まとめ ピーナッツ(Peanuts)の隠れた名脇役「メイナード」
さて、ここまでピーナッツ(Peanuts)の隠れた名脇役:メイナード(Maynard)の全貌を紐解いてきましたが、いかがでしたでしょうか?
メイナードは、決して「友達になりたいタイプ」ではありません。むしろ、近所にいたらちょっと避けてしまうような、鼻持ちならない少年です。
しかし、彼の冷笑的な態度や、「報酬をもらって当然だ」というシビアな現実感覚は、子供たちの純粋な(時に残酷な)世界に、大人の社会のような奇妙な緊張感をもたらしました。
彼のようなキャラクターが時折現れるからこそ、『ピーナッツ』は単なる子供向けの漫画に留まらず、人生の機微を描く「文学」として成立しているのかもしれません。
次にコミックやアニメをチェックするときは、ぜひこの「白目のある、ちょっと生意気な家庭教師」を探してみてください。
きっと、今までとは違った角度で『ピーナッツ』の世界が楽しめるはずですよ!
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