世界中で何世代にもわたって愛され続けている名作コミック『ピーナッツ(PEANUTS)』。
チャーリー・ブラウンやスヌーピーなど、おなじみのキャラクターたちが繰り広げるクスッと笑えてちょっぴり切ない日常は、いつ見ても心が癒やされますよね。
ところで、みなさんはコミックを読んでいて、彼らが「ある特定の食べ物」に対して、ものすご〜く強い拒絶反応を示しているシーンを目にしたことはありませんか?そう、それこそが今回の主役(?)「ココナッツ」なんです!

作中では、おやつやパーティのシーンになるたび、ココナッツがまるでお約束の「定番ネタ(ランニング・ギャグ)」として何度も登場。そのたびにキャラクターたちは頭を抱えたり、絶望したりして大騒ぎしています。
「えっ、犬であるスヌーピーまで嫌がってるの?」
「あんなに美味しいココナッツが、なんでそんなに目の敵にされてるわけ?」
そんな疑問が湧いてくるのも当然ですよね。
そこで今回は、スヌーピーとピーナッツの仲間たちが「ココナッツ」を大嫌いな理由:作者シュルツ氏のこだわりと作中の歴史を徹底解説!と銘打って、どこよりも詳しく、愛を込めてその真相をひも解いていきたいと思います!
そもそも「ココナッツ」ってどんな果物?作中での描かれ方
まずは基本に立ち返って、ココナッツがどんな果物なのかをざっくりおさらいしておきましょう。
ココナッツ(ヤシの実)といえば、南国のビーチや熱帯地方のヤシの木に実る、いかにもトロピカルなフルーツですよね。
分厚い殻を割ると、中にはサラサラした水分(ココナッツウォーター)が入っていて、その周りには「白い固形胚乳」と呼ばれる果肉がぎっしり詰まっています。
これらはどれも栄養満点で、人間が安全に美味しく食べられるものです。
特に、この果肉を乾燥させて細かく刻んだ「ココナッツシュレッド」や細長い「ココナッツロング」は、お菓子作りの大定番!
- サクサクのクッキーのトッピング
- ふんわりケーキのデコレーション
- 甘〜いドーナツの衣
といった具合に、洋菓子の風味を引き立てる隠し味として、世界中で広く愛されています。
ところが、ピーナッツのキャラクターたちにとって、この「お菓子にまぶしてあるココナッツ」こそが、文字通り“この世の終わり”を告げる最大の天敵。
せっかくの華やかなパーティやおやつタイムなのに、出されたお菓子にココナッツがひとつまみでも入っていると知った瞬間、彼らはどん底の絶望に突き落とされてしまうのです。
うーん、何もそこまで嫌わなくても……と思っちゃいますが、彼らにとっては死活問題のようですね。
なぜ全員嫌い?すべては原作者チャールズ・M・シュルツ氏の体験から始まった

チャールズ・シュルツは子供の頃に初めてココナッツを食べましたが、その味がどうしても好きになれず、二度と食べないと心に誓いました。チャーリー・ブラウンが登場すると、彼はこの漫画家(シュルツ)のココナッツに対する嫌悪感を受け継ぎ、その苦手な気持ちをとてもストレートに表現するようになったのです。シュルツ自身もかつて、「……自分の子供たち全員にも、ココナッツを嫌うように教え込んだよ」と誇らしげに語ったことがあります。🥥
3月11日まで開催中のミュージアムの展覧会「泥パイとジェリービーンズ(Mud Pies and Jelly Beans)」にて、1954年9月14日に発表されたこのコミックの原画をぜひご覧ください。
それにしても、特定の誰かだけでなく、登場人物のほとんどがココナッツを嫌うなんて、ちょっと不自然だと思いませんか?
実は、この徹底的な「ココナッツ拒絶マニフェスト」の裏には、原作者であるチャールズ・M・シュルツ氏の、実に人間味あふれるリアルなエピソードが隠されているのです。
結論から言ってしまうと、ピーナッツの世界でココナッツ嫌いが徹底されている最大の理由は、シュルツ氏自身が幼少期に味わった、強烈な食のトラウマにありました!
シュルツ氏はまだ小さな子供だった頃、初めてココナッツを口にしたそうです。
その際、あの独特の繊維質なシャリシャリした食感や、鼻に抜ける甘ったるい風味に、激しい、本当に激しい嫌悪感を抱いてしまいました。「うわっ、なんだこれ!マズすぎる!」とでも思ったのでしょうか。その瞬間、彼は心の中でこう固く誓ったのです。
「これからの人生で、二度と、絶対にココナッツは食べないぞ!!」
この個人的な強いこだわりと怨念(?)にも似た嫌悪感は、シュルツ氏の生涯を通じて薄れることはありませんでした。
それどころか、その執念は彼自身の実の子どもたちへ、そして彼が生み出した分身とも言える『ピーナッツ』のキャラクターたち全員へと、容赦なく(笑)そのままスライドして受け継がれることになったのです。
つまり、作者の「自分が大嫌いなものは、僕のキャラたちにも絶対に食べさせない!」という、ちょっぴり意固地でチャーミングなこだわりが、作品を彩るユニークなユーモアへと見事に昇華されたわけですね。
ココナッツが大嫌いな主要キャラクターと初登場のエピソード
ここからは、コミックの歴史の中で「ココナッツなんて大嫌いだ!」と明確に拒絶反応を示した、主なキャラクターたちをご紹介します。
それぞれの“ココナッツ嫌い発覚”の年月日とともに、その記念すべき(?)シーンを振り返ってみましょう。
1. チャーリー・ブラウン(1951年2月24日)

ヴァイオレット「これはとっても特別な泥パイ(泥で作ったおもちゃのケーキ)なの……ココナッツを振りかけておいたわ」
ヴァイオレット「はい、チャーリー・ブラウン、泥パイをどうぞ! 手が汚れちゃっててごめんなさいね」
チャーリー・ブラウン「オエッ! これ、ものすごくまずいよ!!」
チャーリー・ブラウン「ごめんよ、ヴァイオレット、でも僕、どうしてもココナッツが苦手なんだ!」

チャーリーブラウン…これはひどいよーー!!せっかくヴァイオレットちゃんが特別な泥パイをくれたのに、まずいって言って、捨てるなんて!!!ひどすぎる!!!


ヴァイオレット「ココナッツが嫌いなのよね、チャーリー・ブラウン?」
チャーリー・ブラウン「ココナッツだけは我慢できないんだ!!」
ヴァイオレット「そうねぇ、今度パーティーを開く予定なんだけど、ココナッツケーキに、ココナッツクッキー、それにココナッツアイスクリームを出すつもりなの……」
ヴァイオレット「ココナッツミルクに、ココナッツクリームパイ! それから、ゲームの景品は全部ココナッツキャンディにするわ、それと……」
チャーリー・ブラウン「うわあああ!(YAAGH!)」
ピーナッツの世界で、もっとも早くココナッツへの恐怖を露呈したのが、我らが主人公のチャーリー・ブラウンです。
連載開始から間もない1951年に女の子のバイオレットがくれた特別な泥パイを酷評して、そのまま地面にポイ・・・バイオレットの悲しい視線が泣ける・・・
その後、バイオレットの仕返しがあり、バイオレットが開くパーティに招待されたチャーリー・ブラウン。普通ならワクワクするはずのイベントですが、彼はある可能性に伝えられます。
「お菓子やリフレッシュメント(軽食)に、ココナッツ味のものを出す予定なの……」
そう察知した瞬間、彼は激しいパニックに陥ってしまうのです。
楽しいはずのパーティが、ココナッツという存在のせいで、恐怖のホラーイベントへと変貌を遂げてしまう。不憫すぎる彼の姿は、初期の読者に強烈なインパクトを与えました。
2. スヌーピー(1952年10月11日)


チャーリー・ブラウン「これ全部ココナッツ味なんだよ、スヌーピー……ほらね?」
スヌーピー「!」
チャーリー・ブラウン「ムシャ、ムシャ! オエッ、ペッ、ムシャ、ムシャ! プッ、ハァ」
バイオレット「どうしたの、チャーリー・ブラウン?」
チャーリー・ブラウン「僕、ココナッツキャンディだけはどうしても我慢できないんだ!」
バイオレット「じゃあ、なんでそれを買ったのよ?」
チャーリー・ブラウン「スヌーピーもココナッツが嫌いだからさ……これならスヌーピーに邪魔されずに食べられる、唯一のキャンディなんだよ!」
世界一有名なビーグル犬、スヌーピー。
普段は食べ物に対して並々ならぬ執着を見せ、チャーリー・ブラウンが運んでくる犬の餌はもちろん、チョコチップクッキーからピザ、ドーナツまで、人間のジャンクフードも何でも美味しそうに平らげちゃいますよね。
しかし!そんな食いしん坊なスヌーピーであっても、ココナッツだけは絶対に例外!
お皿の上にココナッツが乗っているのを見つけた瞬間、あからさまに顔をしかめて嫌悪感を示し、絶対に口にしようとはしません。
犬の味覚をも超越するシュルツ氏の遺伝子、恐るべしです。
チャーリー・ブラウンの涙ぐましい知恵
スヌーピーに食べ物を横取りされないために、あえて自分も大嫌いなココナッツキャンディを買い、案の定悶絶しながら食べるというチャーリー・ブラウンの不憫なエピソードが描かれています。
3. ライナス・ヴァン・ペルト(1959年7月31日)


ライナス「チャーリー・ブラウン、君のアドバイスが必要なんだ……」
ライナス「ある人がキャンディの袋を持っていて、その半分にはココナッツが入っているとするよね……。で、そのキャンディを分けてもらう相手は、ココナッツが大嫌いだとするんだ……」
ライナス「もし、キャンディをくれる子が、自分もココナッツが嫌いだからという理由でそれを押し付けようとしているとしたら、もらう側はそれを拒まずに受け取らなきゃいけないのかな?」
チャーリー・ブラウン「僕はこれまでに一度だって、道徳的な問題を解決できるなんて言ったことはないよ!」
いつも安心毛布を肌身離さず持ち歩き、指をくわえながらも、時には大人顔負けの鋭い哲学を語るライナス。
どんなときでも比較的冷静沈着な彼ですが、ココナッツを前にすると話は別。一気に冷静さを失ってしまいます。
彼もお菓子や料理にココナッツが混入していることを、レーダー並みの鋭さで徹底的に警戒しており、作中で何度もその嫌悪感をストレートに表明しています。
4. サリー・ブラウン(1983年2月10日)


サリー「すみません、お姉さん……私の『愛しのバブー(ライナスのこと)』は今日、お店に来ましたか?」
ライナス「僕は君の『愛しのバブー』じゃない!」
サリー「彼がバレンタインのチョコレートを買いに来たら、私はチョコレートクリームの方が好きだって伝えてくださいね」
サリー「でもココナッツはダメ! ココナッツは大嫌いだから!」
ライナス「(……それは素晴らしいアイデアを思いついたぞ!)」
チャーリー・ブラウンの妹であるサリーも、兄の「ココナッツ嫌い」の血筋をばっちり色濃く引き継いでいます。
学校のランチの時間や日常のふとしたひとコマで、ココナッツが含まれている食べ物に遭遇した際、彼女は持ち前のわがままでストレートな性格をフルに発揮!激しい言葉をまき散らしながら、全力で拒絶の意思を示しています。
5. オラフ(1989年1月28日)


スヌーピー「オラフ、待って! 行ってしまう前に、これ、君にクッキーの袋をあげるよ……」
オラフ「ありがとう……それで、もう一つ君に聞きたいことができたんだけど……」
オラフ「これってココナッツが入っている? 僕、ココナッツは大嫌いなんだ!」
スヌーピーのきょうだいの一人であり、「みにくい犬コンテスト」で優勝した経験を持つ、ちょっぴりふくよかでマイペースなオラフ。
きょうだいの中でもとりわけ食いしん坊なキャラクターとして描かれることが多いオラフですが、やっぱりスヌーピーの弟。遺伝子レベルでココナッツを受け付けません!
彼が登場する1980年代後半という比較的後期の年代になっても、この「ココナッツ嫌い」の設定はブレることなく、頑なに守られ続けました。
半世紀以上にわたり愛された「ココナッツ嫌い」というランニング・ギャグ


『ピーナッツ』の新聞連載は、1950年10月2日から、シュルツ氏が亡くなる直前の2000年2月13日まで、なんと約50年間、半世紀にわたって一度も休むことなく続けられました。
これだけ長い歴史がある中で、1950年代の初期に生まれた「ココナッツ嫌い」のエピソードは、1980年代の終盤、果ては連載終了間際に至るまで、新しいキャラクターが登場するたびにお約束のように追加・更新されていきました。
このように、同じ設定や特定のネタを何度も何度も、忘れた頃に繰り返し登場させて笑いを誘うお笑いの手法を「ランニング・ギャグ(定番ネタ)」と呼びます。
ピーナッツには他にも「チャーリー・ブラウンが凧を揚げると必ず『凧食いの木』に引っかかる」とか、「ルーシーがアメフトのボールを直前で引っ込めてチャーリー・ブラウンがひっくり返る」といった有名なランニング・ギャグがありますが、この「ココナッツ嫌い」もそれらに並ぶ、隠れた大人気定番ネタだったわけです。
カリフォルニア州サンタローザにある「チャールズ・M・シュルツ美術館(Schulz Museum)」の公式記録やSNSでも、このココナッツに関するエピソードは定期的に紹介されており、ファンの間では「ピーナッツを語る上での基本知識(トリビア)」として、今なお深く愛され続けています。
一見するとただの偏食のようですが、キャラクターたちの人間らしい(犬らしい?)個性をより際立たせ、クスッと笑える日常のフックとして、ココナッツは作品に欠かせない、なくてはならない「隠れた名脇役(いや、迷脇役?)」だったと言えるでしょう!
ピーナッツの「食べ物」にまつわるFAQ(よくある質問)
ここで、ピーナッツのキャラクターたちの食生活や、ココナッツ以外の食べ物に関するちょっと気になる疑問に、Q&A形式でお答えします!
まとめ 今度コミックを読むときは、おやつシーンに注目!
今回は、「スヌーピーとピーナッツの仲間たちが「ココナッツ」を大嫌いな理由:作者シュルツ氏のこだわりと作中の歴史を徹底解説!」というテーマでお届けしました。
たかがココナッツ、されどココナッツ。一人の漫画家の幼少期のちょっとした「好き嫌い」が、世界中で読まれる50年もの長期連載の中で、これほど息の長い、愛されるランニング・ギャグへと進化を遂げたなんて、本当に面白いですよね。シュルツ氏の作品に対するこだわりと、お茶目な人柄が伝わってくるようです。
みなさんも、次に『ピーナッツ』のコミックを読み返したり、アニメを観たりするときは、ぜひお菓子やパーティが登場するシーンに注目してみてください。
「あ、チャーリー・ブラウンがまたお菓子の原材料を気にしてる!」 「スヌーピーが皿をひっくり返したぞ、もしや……!」
なんて、今までとは違った新しい発見があって、読書タイムがもっと楽しくなるかもしれませんよ?それでは、次回のピーナッツトリビアでお会いしましょう!ばいばい!
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